終身雇用の崩壊が進んだことや不況によるリストラ、さらには非正規雇用の増大など雇用をめぐる状況が激変し、就職戦線は厳しさを増している。だが、そんな中にあっても、より自由に、より自分らしく働きたいという欲求は抑えきれない。会社や組織にとらわれない働き方は可能なのか。新しいワークスタイルに挑戦する動きを紹介したい。J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中
やりたい仕事を楽しい仲間と
『だから、僕らはこの働き方を選んだ 東京R不動産のフリーエージェント・スタイル』人間、好きな仲間と好きなことをして食っていければ一番いい。だが、なかなかそうはいかないのが現実だ。ダイヤモンド社の『だから、僕らはこの働き方を選んだ 東京R不動産のフリーエージェント・スタイル』(著・馬場正尊、林厚見、吉里裕也、1575円)は、自分たちが生み出した理想の働き方についての組織論と実践の書だ。
3人の著者はいずれもこれまで勤めていた会社を辞めて、東京R不動産というライフスタイルにこだわりのある物件を紹介するユニークな不動産サイトを立ち上げた仲間だが、4つの共有点がある。(1)やりたい仕事をすること(2)ちゃんとお金を稼ぐこと(3)社会を豊かにすること(4)楽しい仲間と働くこと。一言でいえば、会社と個人の良いとこ取りをした新しい働き方だ。どうやって、それを実現しているのか、試行錯誤や工夫をまじえて紹介する。
甘くはない「ノマド」のいき方
『自由な働き方をつくる 「食えるノマド」の仕事術』「ノマド」とは元々「遊牧民」という意味だ。オフィスだけでなく、カフェや図書館にパソコンを持ち込んで場所にとらわれずに仕事をする人を指していたが、最近では会社や組織に属さないで自由に働く人たちを「ノマド」、あるいは「ノマドワーカー」と呼ぶようになっている。日本実業出版社の『自由な働き方をつくる 「食えるノマド」の仕事術』(著・常見陽平、1575円)は、「ノマド」として生活していくための実践的な仕事術を伝授するものだ。
自由に働く、といえば誰でもあこがれを抱くが、実態は甘いものではない。仕事がなくなるリスクが常にあり、自由と引き換えの孤独と不安に耐えなければならない。その覚悟はあるのか。そう問い掛けてくる、地に足のついた「ノマド」論だ。
転職に成功した営業マンの秘訣
『奇跡の営業』働く喜びや仕事の楽しさは、会社の中にもあるものだ。多くのサラリーマンが創意工夫を重ね苦労しながら会社を支え、自らの生きがいを見出してきた。サンマーク出版の『奇跡の営業』(著・山本正明、1470円)は転職で成功した会社員の「奇跡の営業術」である。
著者は44歳の時、事情あって周囲の反対を押し切り、中堅ゼネコンの現場監督からソニー生命に移った。高専で土木工学、大学で建設工学を学び、話し上手でもなかったが、入社9年目にして社内コンテストで営業マン4000人のトップに立った。その秘訣はどこにあるのか。キーワードは「紹介」、そして、「魔法のアンケート」の使い方にあった――。ここ数年はずっと社長杯の上位入賞者に名を連ね、家族ともどもハワイでの授賞式に招待されるなど企業社会の優等生となっている。