【書評ウォッチ】日本の農業にこだわって TPP交渉を機に「食」を考える

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Iターン開墾の成功物語

   また、『やさか仙人物語』は、40年前に18歳で広島県から縁もゆかりもなかった島根県の弥栄(やさか)村・現浜田市弥栄町に入り、開墾を始めた佐藤隆さんらの記録。

   Iターン・Uターンの言葉もなかったころのこと。当初は採算がとれず、出稼ぎでしのいだ。試行錯誤を重ね、有機農産物やみそ作りなどに創意を加え、今では年間売り上げ3億円を超す有限会社だ。従業員35人、農地30ヘクタール。コメや野菜、大豆栽培のほか、トマトジュース、甘酒なども製造。若い後継者づくりにも力を入れているという。

   地域の高齢化や冬の降雪などを乗り越えてきた成功物語ではあるが、これからTPPによる輸入拡大の難問が待ち構える。果たして活路を開くことができるだろうか。「実践記録であり、農業の可能性を示すものだ」と、毎日読書面で「大」一文字の評者が薦めている。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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