節電のため会社の冷房の設定温度や使用時間に制限があり、暑さに耐えながら仕事をしている人は少なくない。ある調査によると、夏の職場を暑いと感じることがある男性会社員は約8割にものぼる。「節電は必要だが我慢はしたくない」人が半数以上いて、節電の重要性は理解しているが、職場の冷房の温度設定に不満があるという本音が明らかになった。
「節電は必要だが我慢はしたくない」が半数以上
この調査は、ノルド社会環境研究所(東京・中央区)が行った「夏の職場の節電実態と本音調査」。職場での節電意識とその本音に迫るため2013年7月11日~14日、関東・関西の男性オフィスワーカー300人(有効回収)を対象にウェブアンケートを実施した。
夏の職場(屋内)を暑く感じる頻度を聞くと、「よくある」という人が46.0%、「たまにある」という人が35.7%で、合わせて81.7%が「ある」と回答。夏の職場の空調・温度に「不満」という人は全体の55.3%と過半数だった。だからといって、節電に理解がないかというと、そうでもないようだ。
職場の冷房設定温度に制限がある198人に、「節電対策のための冷房利用の制限」に対する考えを質問すると、「非常に理解できる」(20.2%)、「どちらかといえば理解できる」(62.1%)となり、計82.3%が「理解できる」と答えている。
では、「暑さへの不満」と節電意識を天秤にかけるとどうなのか。節電について「必要だとは思うが、我慢したくない」という考えに、「そう思う」(20.3%)、「ややそう思う」(35.3%)を合わせた「そう思う」の割合は55.7%に達した。
節電対策と冷房改善の両立策は?
「節電より暑さ解消」の本音が垣間見えた結果だが、実際、暑さを我慢すれば良いという問題ではないようだ。調査によると、職場の暑さが仕事にマイナスの影響を及ぼしている。96.0%もが、能力が低下することがあると回答。「暑さで能率がどの程度下がると思うか」を質問すると、30%以上低下すると答えた人は74.0%いて、低下率の平均値は39.1%だった。また健康面にも影響し、職場を含む屋内で、熱中症の経験がある人は8.7%いた。
調査結果を受け、システム技術研究所の槌屋治紀所長は、節電対策と冷房改善を両立させる手段として、建物の壁の断熱化や二重ガラス窓・LED照明の導入を挙げ、「エネルギー源を電力からガスに切り替えて空調を行うのもひとつの方法」だと語る。
「これは優れた省エネルギー型建築にはすでに多く取り入れられている技術で、ガスエンジン駆動の冷房システムです。ヒートポンプの一種であり、CO2排出量が小さく効率の高い冷房を実現します。夏の暑い日の午後でも電力不足を気にすることなく、オフィスの能率が低下することはないでしょう」