小学校の臨海学校や家族の海水浴が減ったせいか、若者の「海離れ」が進んでいると先日、テレビのニュースが伝えていた。しかし、夏といえば、やっぱり海だ。海こそ、青春のエネルギーを燃焼させるステージではないのか。果てしない夢を育て、多くの恵みをもたらす海の豊かさと魅力についてもっと知りたい。
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海が今のようになるまでの数々の事件
『海はどうしてできたのか 壮大なスケールの地球進化史』
寄せては返す波の音に耳を傾け、遥か彼方の水平線に目をやる。海を見つめながら人々は様々な思いにふけるものだが、講談社のブルーバックス『海はどうしてできたのか 壮大なスケールの地球進化史』(著・藤岡換太郎、861円)は、宇宙の生命を育んだ海の誕生に思いを馳せる壮大な問いかけである。子どもたちの素朴な疑問にこたえ、大人たちの科学的好奇心を刺激してくれる。
地球の誕生は46億年前だが、まるで「地獄絵図」のような原始地球に海が生まれたのは、いくつのも幸運があったようだ。そして、猛毒物質を抱えたおそるべき海が、現在のような「母なる海」となるまでには想像を絶する大事件があったのだ。その過程を事件史としてたどりながら、将来は海が消えてしまうシナリオに迫る。
こんなにいる危ない生き物たち
『海の危険生物ガイドブック』
海水浴でクラゲに刺された経験のある人は少なくないだろう。痛いだけなら我慢できるが、近頃は咬まれると死ぬおそれもあるというヒョウモンダコなる生物が話題になっている。阪急コミュニケーションズの『海の危険生物ガイドブック』(著・山本典暎、2520円)は、そんな海の危険な生物約230種を生態写真で紹介したものだ。
著者は水生生物写真家で、海中だけでなく干潟や河川に生息する多くの生き物を撮影している。取り上げられているのは、ウミケムシ、ウミヘビ、サメ、ウツボ、イソギンチャク、オニヒトデなど実に多彩な生物たち。海洋レジャーで遭遇しやすい危険生物のフィールド観察と、体験談、対処法も収録しており、海を楽しもうという人たちにとって欠かせぬガイドブックとなっている。
水産国ニッポン復活のシナリオ
『日本の水産業は復活できる! 水産資源争奪戦をどう闘うか』
土用の丑の日、今年もウナギの高騰ぶりが話題になった。稚魚の激減が原因で、このままでは貴重な水産資源が絶滅する恐れもあるといわれるが、ウナギだけでなく、日本の水産業全体にも通じる話だ。四方を海に囲まれ豊富な資源と絶好の魚場を持ち、漁業王国を誇ってきた日本の水産業がいまや衰退の一途をたどっているという。日本経済新聞出版社の『日本の水産業は復活できる! 水産資源争奪戦をどう闘うか』(著・片野歩、1680円)は、日本の水産業が活気を取り戻し、復活するためのポイントと戦略を示した1冊だ。
著者は大手水産会社の社員として、北欧中心に20年以上にわたって水産物の買い付け業務に携わってきた。その知識と経験から北欧の成功例を紹介しながら乱獲など問題点をわかりやすく解説し、資源管理をはじめとする日本のとるべき方策を提言する。