人気アニメ「機動戦士ガンダム」のテーマパーク「ガンダムフロント東京」(お台場)で、スペシャルイベント「庵野秀明×氷川竜介 トークショー」が2013年7月26日、開催された。
「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版」を手がけ、宮崎駿監督の最新作「風立ちぬ」で主演声優を務めることでも話題の庵野秀明監督を招いた。
「アニメーションの中間生成物を文化遺産に」
連動企画展を開催中の「庵野秀明責任編集 安彦良和アニメーション原画集 『機動戦士ガンダム』」(角川書店)をめぐり、アニメ評論家で原画集の構成・編集を担当した氷川竜介さんとトークショーを繰り広げた。
「最初が板野(一郎)さん、次は宮崎駿さん。この組み合わせは世界で僕しかいない」――庵野監督は、安彦さんの弟子・板野さんに導かれて、アニメ業界に足を踏み入れた。いわば安彦さんの「孫弟子」にあたる存在だ。
ガンダム劇場公開時の原画集を見て、アニメ業界を本格的に意識したという庵野監督は「安彦さんの絵でなかったらガンダム1話の成功はなかった。他の人がやっていたらあれだけのものにはならなかった。安彦さんの功績は大きい」と熱を込める。
とりわけ魅力的なポイントとして「ガンダムの顔がすごくいい、ハンサム。タイミングもいい。ファースト劇場版第3作目がすごくよくて、重力と質量がある。歩きのタイミングや、ゲルググとビームサーベル一騎打ちするところのスローモーションに入って戻るタイミング。人間としての動きをモビルスーツがちゃんとトレースしている。それから、目線がいい。シャアがメットかぶっててもどこ見ているか分かる。ガンダムのいいところもやっぱり目線。上目とかひさしがいい」と語った。
話はガンダム以前のコンバトラーVやザンボット3の作画にまで及び、終盤にさしかかると「話がマニアックに行き過ぎまして、もうちょっとわかりやすい話ができればと思ってたんですが…」と申し訳なさげな顔も。最後には、「(原画のような)アニメーションの中間生成物は、本来だったら産廃としてゴミになるんですけど、そういうものを文化遺産として後世に残したいという願いがずっとありまして。これに限らず、特撮もミニチュアも、今の自分があるのはそういうもののおかげなので、恩返しを一生かけてしていきたい」と締めくくった。