身近な「光」を支えるフィリップスの技術 車のキセノンバルブ生産量は世界一

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   フィリップスといえば、電気シェーバーや電動歯ブラシといった家電のメーカーであるというイメージが日本では強いが、実はあまり知られていない分野で「世界ナンバーワン」を誇る企業でもある。ほとんどの人が何だかの形でお世話になったことがあるだろう自動車のヘッドライトに使われるキセノンバルブ(HID)の生産量が世界一なのだ。

   バルブ製造を手がけるパイオニア企業でもあり、1891年に電球製造工場としてスタートし、世界で初めてハロゲンランプの量産を成功させた歴史を持つ。現在、欧州車や国産車の多くにフィリップス製の自動車電球が採用されている。2013年5月末には、ドイツにあるフィリップスのアーヘン工場で日本メディア向け説明会も開かれた。

年間1億6000万個のバルブがドイツ・アーヘン工場で

「アルティノンHID 6200K」を使用
「アルティノンHID 6200K」を使用

   同社の正式名称は「ロイヤル フィリップス」で、オランダに本拠を構えている。同社によると、アーヘン工場の広さは10万平方メートル。東京ドーム2個分を超える広大さで、同社が持つ工場の中でも最大の規模という。

   一般的なハロゲンバルブや、ハロゲンの約3倍の明るさがありながら消費電力を半分程度に抑えたキセノンバルブの製造のほか、LEDや有機EL(OLED)、レーザー光線の研究・開発なども行っている。

   同社が製造するバルブの特長のひとつは、ハロゲンバルブにも石英ガラスを採用している点だ。石英ガラスは一般的な硬質ガラスに比べ、熱に強いという特性がある。通常の硬質ガラスであれば、水が触れるなどの急激な温度変化で割れてしまうのに対し、石英ガラスは破損することなく点灯し続ける。

   工場では品質管理に徹底的にこだわり、専用カメラやブラックライトを使った確認や、目視によるチェックを何度も繰り返す。テクニカル&マーケティングコンサルタントを勤めるユルゲン・メルツァー氏によると、年間1億6000万個のバルブがここアーヘン工場で作られる。不良品を限りなくゼロに近付けるのも技術のひとつで、製造はほとんどが機械によるものだが、「それをコントロールするのは人間であり、そこにもフィリップスのノウハウがあるのです」と自信をのぞかせた。

   また今後の展開については、マーケティング統括バイスプレジデントのディミトリ・ジャレード氏が、「現在主流であるハロゲンバルブ、キセノンバルブの製造はもちろん、LEDや有機EL、レーザーといった次世代を担うであろう光源の開発が課題だ」と説明した。

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