東京・銀座一丁目はアンテナショップの新興地域である。元々アンテナショップ界の南の王様・沖縄県の「わしたショップ」を中心に、高知や山形の店があったが、昨年2012年頃から新規オープンが相次いでいる。
「常陸野ネストビール」7種類がそろう
茨城県の「茨城マルシェ」も、銀座と八重洲の境目の高速道路下に2012年秋にオープンした。「茨城のいちばん美味しいとこ、銀座に持ってきました」がうたい文句の「茨城のセレクトショップ」だ。
茨城の名産品・グルメと言って、「納豆」「あんこう」くらいしか思いつかない人もいるかもしれないが、じつはメロンの生産量、日本一。そして、おいしい地ビール「常陸野ネストビール」の産地でもある。
茨城県那珂市鴻巣の木内酒造がつくるこのビールは、イメージキャラクター「ふくろう」のラベルデザインが目をひく。ネストは「鴻巣」の「巣」の英語「NEST」から、ふくろうは森のイメージでキャラクターになったという。権威ある国際的ビアコンテストでたびたび入賞して世界にその名が知られ、いまでは「ふくろうのビール」として、ニューヨークなどを中心に全米のビール好きをも唸らせているんだそうな。
直営オンラインショップなどでも買える常陸野ネストビールだが、茨城マルシェにはリアル店としては充実の7種類。都内百貨店の酒売り場などで見かけることはあっても、7種類をそろえるところは、筆者は他にしらない。
コシがありつつ、ペールならではの華やかさ
さて地ビールといえば、日本で一般的ないわゆる普通のビール「ピルスナー」に対して、大抵「個性」を売り物にしている。苦み、アルコール度が強かったり、香りが際立っていたりといったことだ。しかし日本の地ビールは一時のブームが去った後は苦戦中と言われる。すっかりピルスナーに慣れ親しんだ日本人は、いくら「ビール通」が世界のホンモノのビールにはかくかくしかじかのものもあって~と説教しても、一向耳を傾けないようなのである。
だが茨城マルシェで買える常陸野ネストのペールエール(330ミリリットル、399円)は、ほとんどピルスナーしか飲んだことがない、食事を選ぶビール、食事に合わないビールはイヤだという頑固な日本人にも、おすすめできるクラフトビールであった。
ペールエールは地ビールでよく醸される種類で、華美でフルーティーな香りが出しやすいと言われる。なかには、付けすぎた香水のようにやたらプンプンと香りを振りまくものもあるが、常陸野ネストのペールエールはそうしたペールエールとは一線を画している。
グラスに注ぐと、クリーミーな泡が立ち、深く澄んだ琥珀色に吸い込まれるよう。見るからに上質感を醸している。飲めば、ビールのコシがベースにありつつ、ペールならではの甘さ華やかさが花開く。地ビールとしては地味めな味わいなのかもしれないが、ピルスナーとの違いは楽しめる。おまけにどんな食べ物でも合いそうで、とくにビール通じゃない普通の日本人の筆者も、構えることなく、唸りながら堪能することができた。
商品名:常陸野ネストビール・ペールエール
製造:木内酒造
サイズ:330ミリリットル
価格:399円