冷遇の時代をチャンスに変える
『逆境克服 元三越の天皇・岡田茂の側近が、左遷先でつかんだ「意地」の成功』
上司が解任されたとき、殉じて冷や飯を食うか、手のひらを返すように相手方に取り入るか。サラリーマンの正念場である。PHP研究所からの『逆境克服 元三越の天皇・岡田茂の側近が、左遷先でつかんだ「意地」の成功』(著・天野治郎、1470円)は、前者を選んだ男の闘いの記録である。
上司とは、三越の天皇といわれた岡田茂。著者はその岡田を心から尊敬する側近中の側近だったが、岡田は一連のスキャンダルで突然社長を解任される。著者は大阪に追われ、さらに台湾へと左遷された。だが、その台湾で挽回のチャンスをつかむ。いまは亡き妻の献身と励ましに支えられながら苦節19年、台湾の人とともに台湾一を誇るデパート「新光三越」を育て上げた。山あり谷ありの波乱万丈、逆境こそ成功の母だった。