夏になると、子どもの頃の縁台将棋を思い出す。「待った!」「待ったなし!」とけんかになって終わる他愛ないものだったが、最近はコンピュータと人間が真剣勝負の火花を散らし、一流のプロ棋士が負けたと話題になった。将棋という奥深いゲームをめぐる、この頭脳対決はどう決着するのだろうか。
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ひらめきや勝負勘を育てる将棋的思考法
『将棋脳 これであなたの脳はよみがえる』
将棋を見ていて感心するのは、棋士たちの記憶力の凄さだ。勝負が終わると、もう一度初めに戻って駒を並べ始める。いま決した勝負の再現だ。それが淀みなく進むのが、いつも不思議だった。何手も先を読むのも素人にはとても真似ができない。いったい幾通りの「ああいく、こういく」「こういく、ああいく」があるのか。サンマーク出版の『将棋脳 これであなたの脳はよみがえる』(著・中原誠、1365円)は、そんな棋士の頭の中を垣間見せてくれる。
永世十段の著者は「攻めるときは攻め、受けるべきときは受ける」という自然流の棋風で頂点に登りつめた。脳を活性化し、ひらめきや勝負勘を育てる将棋的思考法を教育やビジネスに役立てることはできないか。将棋を知らない人にも参考になる1冊だ。