東京駅の駅ナカ(JR改札内)で、毎日「駅弁祭」を開催している「駅弁屋 祭」。全国各地の名物駅弁など常時100種類以上の駅弁を常時販売している「駅弁の聖地」とも言うべきこの店をひさしぶりに訪れてみると、お昼時はとうに過ぎた平日午後だというのに、相変わらずのにぎわいだった。
紐を引けば、あら不思議
この繁盛ぶりは、駅弁の種類の多さに客が選ぶのに迷っているせいもあるだろう。では、このよりどりみどりのなかで、お客さんはどんな駅弁を手にとって、買っていくのだろうか。売り場の店員さんに聞いてみると、「難しいですね」と苦笑しながらも、「お肉系だと、『牛肉どまん中』や『牛たん弁当』がよく出てますね」と教えてくれた。
店内のPOPには、「極撰 炭火焼き牛たん弁当」(製造:株式会社こばやし、1300円)が「人気NO.1」とあるので、さっそくこれを食べてみることに。
さて、この「牛たん弁当」の一番の特徴は、加熱式容器であることだ。二重底の器に加熱ユニットが入っていて、紐を引けば、あら不思議なケミストリーによって弁当が温まるという奴である。この「温かい」という点は、肉系の人気を二分するという「米沢名物 牛丼弁当 牛肉どまん中」とは対極なのがおもしろい。「どまん中」は、牛そぼろと牛肉煮が載った牛丼風の「冷めた」お弁当である。
麦飯の上に、温まった牛タンたっぷり
筆者などは、基本的に「冷めてても、すぐにおいしく食べられるのが駅弁だよね」という考え方なので、積極的に加熱弁当を選ぶことはない。でも牛タンをおいしく食べるなら、温かいのはうれしい気もするし、これはこれで正解なのか――と、やくたいもないことを思いながら、紐を引き、指定された6分間ほど待っていると、容器から蒸気が上がってきた。
フタを取ると、麦飯の上に牛タンたっぷりのって、牛タン丼といったボリューム感をかもしており、麦飯はほかほかに、牛タンは温かいぐらいに仕上がっていた。塩だれにつけこんだという牛タンは、胡椒もスパイシーにきいていて、味わいなかなかに深い。この弁当が人気なのも納得だ。それどころか、「牛タン弁当は温かいのに限るよね」と知った風な口を叩きたくなってしまった。
商品名:極撰 炭火焼き牛たん弁当
製造・販売:こばやし
価格:1300円