霞ヶ関官僚が読む本
「正しさの衝突」の受け止め方 「自問自答」超えて「他問共答」を

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アメリカの相対化された「正しさ」

   国際関係に目を向けると、我が国は現在、日米関係の再構築も視野に入れ、TPP交渉への参加を目指している。こうした「相手の存在」を大前提とする国際関係においても「正しさ」の意味を少しでも正確に理解することが重要となるが、この点は「相手を知る」ことから始めるべきところが大きい。その意味で『アメリカが劣化した本当の理由』(コリン P.A. ジョーンズ 新潮社 2012年12月)は一つの視座を与えてくれる。

   我が国が学んだとされるアメリカ憲法の自由や民主主義は、時代と社会の変化により、その「正しさ」が相対化してきていることが例証されている。「1票の格差」を取ってみても、日本において問題になっていることがアメリカにおいて何ら問題となっていないこと(アメリカ上院における1票の格差は60倍)、アメリカが依然引きずっている課題(奴隷制度の名残や準州の格下扱いという現実と法の下の平等という建前の乖離)について、日本には「是正」を求める場面があることが説かれている。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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