「綺麗な先生は好きですか?」「ハイ!!!」 「反面教師」伊吹留香の迫力とエロス

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『反面教師』
『反面教師』

伊吹留香
『反面教師』
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   一昨年(2011年)の夏に、伊吹留香をここで紹介させてもらった。まだメジャーデビュー以前のことだ。

   その時に、それまでの彼女は生きることの「負の部分」を抱えていたこと、すでに多くの表現作品を世に送り出していること、そして結果としてその表現は「心に潜む痛みや嘆きを歌う」と書いた。

初メジャーアルバム

初メジャーアルバムをリリースする伊吹留香
初メジャーアルバムをリリースする伊吹留香

   あれからおよそ1年9か月。伊吹留香の初メジャーアルバムが4月24日(2013年)にリリースされる。そこに立ち現れてくる彼女の姿は、1年9か月前とはかなり違っている。

   鎧をまとい、内に籠り、自分を傷つけることで存在証明して見せるような在り方ではなく、自分を笑い飛ばしたり、人をおもしろがらせたりすることを楽しめる、伊吹留香がいるのだ。

「タイトルも、危機かつ転機が創り上げた、という意味を持たせた『Made in Crisis』という造語にしようと思っていた。曲は確かにそういう局面で生まれたものだけれど、なにかわかりにくいし伝わりにくい気がして。もっと一般的な言葉で、一見ネガティブに思える言葉でも、少し角度を変えると良い意味に受け取られるような言葉と思って『反面教師』に」

   そして、ジャケットを見ても分かる通り、ビジュアルもすこぶる攻撃的だ。まるでバラ線に囲まれたように見える、顔に文字を大胆にかぶせたメインビジュアル。だが、隙間から覗く目にはサディスティックなほどに力があり、「綺麗な先生が好きです」と言いたくなるような、ある種のエロスも感じる。表裏一体の裏に潜む「汚れ」も知っているに違いない「綺麗な先生」。

「以前は、歌っていて孤独。私のことを人がわかるわけない、わかってたまるか。苦しい気持ちは苦しいまま、どれだけ忠実に表現できるかばかり考えていたけれど、いまはなるべく人に思いが伝わって欲しいと思うし、私の心持ち自体も変わった」

と、伊吹留香は言う。

◆加藤 普(かとう・あきら)プロフィール
1949年島根県生まれ。早稲田大学中退。フリーランスのライター・編集者として多くの出版物の創刊・制作に関わる。70~80年代の代表的音楽誌・ロッキンFの創刊メンバー&副編、編集長代行。現在、新星堂フリーペーパー・DROPSのチーフ・ライター&エディター。

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