「国会改革の必要性」指摘
先進主要国との比較を示しながら、この問題の本質を掘り下げ、世に問うたのが、大山礼子著『日本の国会―審議する立法府へ』(2011年 岩波新書)だ。この本の第2章は、「空洞化する審議―55年体制下の国会」。大山氏は、長年の手堅い議会研究を踏まえ、日本における国会改革の必要性を指摘している。その改革案の1つが、会期の長期化と会期不継続原則の見直しだ。大山氏には、やや古くなるが、諸外国比較や論点がより詳細な『国会学入門(第2版)』(2003年 三省堂)もあり、こちらも有益な知見が得られる。
なお、「会期」とは、「国会が活動能力を持つ期間」をいい、会期不継続の原則とは、「会期中に議決されなかった案件は後の会期に引き継がれることはない」ことをいう。短い会期とこの原則が「日程国会」を有効ならしめてきた。このような国会に関する諸事項の理解には、『新・国会辞典(第二版)』(2008年 有斐閣)が手ごろな解説本だ。
国会対応も、過酷な長時間労働を強いられず、ある程度時間的余裕をもって対応でき、充実した審議に貢献できるというのであれば、残業代などのコストも節約でき、国家公務員の仕事へのやりがいも大きく変わってくることは間違いない。多くの政党が与党・野党を経験した今こそ、「日程国会」を脱し、憲法改正などしなくても、国会法改正や規則・慣例の見直しでかなりの程度達成できる国会改革の合意を形成してほしいと切に願う。
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