一見おかたい部類の本なのに今もベストセラーの『ご冗談でしょう、ファインマンさん』(リチャード・P・ファインマン著、上下二巻、岩波現代文庫)が朝日新聞に。ノーベル物理学賞受賞者が半生をつづった本というと売れ行きはいかにも限られそうだが、世界中で人気があり、日本のアマゾンランキングでも常に上位に。自伝風だが「奇想天外な話題」と「人生をユーモアたっぷりに語る」エピソードが人を引きつける秘密らしい。【2013年4月7日(日)の各紙からII】
探究心から派生するイタズラのかたまり
邦訳は1986年の発売以来、各紙誌の読書面でとり上げられてきた。今回は資生堂名誉会長の福原義春さんが愛読書として。「こんなに面白い自伝に出会ったのは初めてでした」と太鼓判。もっと早く出会っていたら、違った人生を歩んでいたかもとまで語っている。
朝永振一郎博士とともにノーベル賞に選ばれた著者は20世紀アメリカの独創的物理学者。しかし「ファインマンと聞いたとたんに思い出してほしいのは……僕が好奇心いっぱいの人間であったということ、それだけだ」といつも言っていたという(下巻あとがき)。
あらゆることに探究心とそこから派生するイタズラのかたまりだった。福原さんはファインマンが錠前破りの特技から法則を見つけ出した話に触れているが、本には無意味な機密にこだわる上司と施設出入りの検問にカチンときて金庫破りを繰り返し、最後は警備員に捕まってお説教を食ったエピソードが。
なんでも実証したがる人だった。大学で小便は重力によって体から出るかどうかを議論したときには、ファインマンは逆立ちして小便できるのを見せ、そうでないことを実証したとか。死ぬ間際の言葉は「二度と死ぬなんてまっぴらだよ。まったくつまらないからね」