「笑い飛ばさなければ乗り越えられない」
お金が足りない。被災地では大工も足りない。難問直面の母娘を救ったのは、家の再建が決まったとたんに生気を取り戻した祖母の生命力だったという。大震災を市民の日常感覚からとらえて、なんともたくましい。抽象論や統計を軽く超えてしまう説得力がある。「このくらい笑い飛ばさなければ乗り越えられない経験だったということ」に気づくと評者・星野さん。ネットサイトでも反響が広がっている。
ところで、活字離れや出版不況が言われ続ける中で、文庫本売れ行き微増のリポートが日経新聞「活字の海で」コーナーに。前年から11年0.8%、12年0.5%のアップ。
村上春樹『1Q84』(新潮文庫)やライトノベルの人気に引っ張られた面もあるが、「高額な単行本は買わないが安い文庫なら」という読者が多いのではないかという。一方で各紙読書面には高価な書物も目立つ。数千円、ときには万を超す本も。市民のための本紹介と言えるか、考えてほしいところだ。出版社サイドも価格を下げる努力がもっとあっていい。
(ジャーナリスト 高橋俊一)
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