最終日には後方階段下ろして遅れが広がる
退役セレモニーでは、旧JAL塗装の白い機体にプロジェクターで就航当時のデザインが映し出され、社員からは歓声もあがった。ステージには次々にパイロットやCAが登壇し、ラストフライトでのファンの熱心さを振り返った。
MD-90ならではのエピソードも披露された。MD-90は後方から地面に階段を下ろせる仕組みが特徴だ。フライト最終日の目的地のひとつが熊本空港で、現地で後部座席のアームレスト(肘掛け)を修理することになったが、すでに遅れが出ていたため、乗客を前のドアから下ろすのと並行する形で、整備担当者が機体後方の階段から機内に入る段取りになった。これを見つけた乗客が後部の階段に殺到。写真撮影会が始まり、かえって乗客が降りるのが遅くなってしまったという。このCAは
「離陸時の姿の美しさでMDに勝るものはない。スマートな鉛筆のようなボディーが、まっすぐに空に向かっていく姿が大好きで、ほれぼれとして見ていた」
と退役を惜しんでいた。
MD-90は福岡-宮崎線を飛ぶことも多く、キャンプ地に移動する福岡ソフトバンクホークスや読売巨人軍の選手も利用した。
「すごい近いなか、(選手らと)お話できた貴重な思い出が…。MD-90様々でした」
と表情をくずすCAもいた。
MD-90は米国企業に売却されて現役を続行することが決まっており、5月下旬にも移送される。