『ケチュア語入門』も
随所に「怪しい本」が登場する。「超瞑想と悟り」「テレパシーの世界」「中世の妖怪、悪魔、軌跡」……。怪しい世界まで好奇心を広げるのが、これも立花流である。「怪しいものほど楽しめます。嘘が面白い」「嘘とも本当とも言い切れない微妙な状況というのは、この世界に案外あるということです」と。
立花さんは原典に当たるを取材の基本に置いている。原文を読むため、ペルーの『ケチュア語入門』も読んでいた。
あまりの知の領域の広がりと深さに圧倒され、立花のように頭脳を磨くことは凡人には不可能であるということが思い知らされる。結局、この本の魅力は、現代社会、人類の歴史が持つ多くのテーマについて、立花先生のわかりやすい市民講座に仕上がっていることだ。宴席で知ったかぶりで披瀝できそうな薀蓄(うんちく)が一杯盛り込まれている。