霞ヶ関官僚が読む本
物事が行き詰まったとき 「数学名著」再読する理由

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問題を他者と共有するには

   問題を正確に理解できても、それを他者と共有できなければ意味がない。この点については『理科系の作文技術』(木下是雄著、中公新書)が大きな助けとなる。こちらは、物理学者である著者による学術論文の書き方の指南書であり、文章を書く上で陥りやすい落とし穴を明解に分析している。「正確に情報をつたえ、筋道を立てて意見を述べることを目的とする作文の教育」に力を入れるべきという著者の指摘には説得力がある。

   この2冊に私が初めて出会ったのは学生時代であり、かれこれ二十有余年のつきあいになる。『いかにして問題をとくか』の原書初版は1945年(和訳初版は1954年)であり、『理科系の作文技術』の初版は1981年であるが、双方ともに今でも多くの読者を惹き付けていると聞く。まさに不易流行であり、2冊とも既に古典的名著の領域にあると言えよう。私にとっても、物事が行き詰まった際に冷静になって考え直す上での妙薬となっている。

経済官庁(課長級)KC

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【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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