【書評ウォッチ】中学・高校で広がる「教室内カースト」 教師や生徒が語る生々しい実態

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立派な先生を取材するのもいいけれど

   下位グループの生徒のことを「ついていけば済むから楽かな。言われるままにやっていればいいから」「100%将来使えない……部活もやっていないオタクで」

   こんなことを言う教師もいたそうだ。まるで他人事。生徒の叫びを聞こうともしない。カーストがある方がクラス運営に好都合なのか。本の問題提起は、市民感覚とはどうにもずれた教師たちをも映し出す。一部にすぎないと笑ってすませていいはずがない。

   同じ日の朝日新聞一面と二面に「教育 あしたへ 先生の挑戦」の連載が始まった。「経験を積みたい」と企業に勤めてから教師になった先生たちの熱心な活動を伝えている。

   これも重要で、もちろん事実だろう。ただ、こんな立派な先生方と、カーストを見て見ぬふりするような教師と、どちらが多いか、実状に近いか。生徒と親たちにとってより深刻で一刻も早く改善してほしい問題が、全国各地にあるとしたら……。朝日取材班に限らない。取材しやすい方ばかりをとり上げていては、教育現場の平均像は隠れるばかりだ。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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