震災直後の書店に出来た長い列
『復興の書店』
戦後の混乱期、書店に本が出回ると、活字に飢えた人たちが長蛇の列をつくった。それと似たような光景が東日本大震災直後の被災地でも見られた。震災から10日余り、仙台で一部の書店が営業を再開すると、開店前から人々が並び始め、あらゆるジャンルの本を次々に買い求めていった。本は生きていくうえで欠かすことのできない必需品だった。そして、書店がどんなに大切な存在であるか。書店員自身、改めて気付いたのだった。
小学館の『復興の書店』(著・稲泉連、1470円)は、困難な状況のなかで読者に本を届けようと苦闘する人たちを描いたノンフィクションだ。ちなみに、著者は2005年に『ぼくもいくさに征くのだけれど 竹内浩三の詩と死』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しているが、母親の久田恵さんも1990年に同賞を受賞している。