海、大気、陸、生命が連動して「共進化」
そしてその海は、大気や陸、そして生命とも連動した「共進化」というべき過程をへる。微生物のシアノバクテリアによる酸素の発生が、当時の生物にとって深刻な環境破壊だったこと、超大陸の形成と分裂が、海や大気、生物に大きな影響を与えていたことなど、地球スケールでの壮大な事件史を追っていくうちに、海、大気、陸、生命の4者がいかに密接に関わりあって、現在の地球を作り上げていったかが自然に理解されてくる。
その後、私たちにとっての「毒性」が消え、現在の穏やかな「塩からい海」になるのだが、最後に話は暗転する。なんと海が将来、なくなってしまう可能性があるというのだ。これは10億年後という気の遠くなる未来予測なのだが、そのメカニズムを見ると、かなり現実性が高いシナリオに感じられる。現在の科学がそれを放置していて良いものかという警鐘を鳴らして、本書は締めくくられている。
海を知ることは、私たちの成り立ちを知ることでもある。マクロな視点で、地球への眼を見開かせてくれる好著だ。発売後すぐに増刷が決定している。