中国人を好きか嫌いか……読書の世界でも「中国もの」はゴマンとあるが、『中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?』(段躍中編、日本僑報社)とはストレートなタイトルだ。街角や観光地で出くわす、独特のやかましさに覚えのある人は多いだろう。その疑問に中国人学生たちがわかりやく答えた本を読売新聞が紹介している。同紙はもう一冊『和僑』(安田峰俊著、角川書店)も、隣のページでとり上げた。あわせて読めば、この個性的すぎる国民を知る助けになりそうだ。【2013年2月24日(日)の各紙からⅠ】
大声は「自信と誠実さを示す」美徳
人が静かに見学したり、雰囲気を味わったりする場所でわめくように話すのは、たいてい、あの国の観光客。遠慮も知性もまるっきりないのかなあ。言いすぎかもしれないが、こんなイメージがけっこう強い。しかし、そういう日本人サイドの印象も「視点をずらすだけでずいぶん変化する」と、宇宙物理学者の須藤靖さんが『中国人がいつも大声で』の本を評する。たしかに「ああ、だからか」と、ついうなずきたくなる話だ。
あちらの学校教育では、大声が奨励される。自信と誠実さを示す美徳なのだそうだ。
発音が複雑な中国語は大声で明瞭に喋らなければという見方もある。
通信事情が悪い中国では大声でないと電話が通じない、国土が広いから知り合いを見つけると遠くからでも大声で会話を始めるのだという珍説も。
ナルホドと納得するか、ヤレヤレとうんざりするか。読者それぞれの微妙なところ。書評最後の「中国移住を真剣に検討すべきだろうか」は余分だ。勝手にしてくださいな。