「ペンシルロケット」から苦闘の半世紀
『日の丸ロケッツ 日本宇宙開発物語』
敗戦から10年、まだ貧しかった日本で小さなロケットが発射された。鉛筆にもじって「ペンシルロケット」といわれた。日本の宇宙開発の第一歩だった。開発を手掛けた糸川英夫は「日本ロケット開発の父」と呼ばれた。それから約半世紀、糸川博士にちなんで命名された小惑星「イトカワ」から探査機「はやぶさ」がサンプル採取に成功、無事地球に帰還して多くの人の感動を呼んだ。
文芸社の『日の丸ロケッツ 日本宇宙開発物語』(著・村沢譲、1260円)は、日本の宇宙開発の苦闘の歴史を描いたノンフィクションだ。糸川の実験後、1970年に初の人工衛星打ち上げに成功するものの、以後は挫折が続く。2003年のJAXA誕生を機に「かぐや」「はやぶさ」とようやく成果が実る――。