ドコモ2013年春モデルのスマートフォン8種に共通するのは、その高スペックぶりだ。高速通信、大型フルHDディスプレイ、クアッドコアCPU……複数の端末がこうした最先端の機能を搭載、ユーザーとしては甲乙付けがたく、どれを選んだものか実に悩ましい。
そんな中で異彩を放つのが、4月発売予定のLG Optimas(オプティマス)G Proだ。他社端末とは一味違うユニークな撮影モードを複数用意し、スマホとしての「新しい楽しさ」を提案する。今回、編集部に試作品が届いたので、実際に使ってみた。
インカメラ+アウトカメラで同時に録画・再生が可能
その前に、まずは基本スペックを。画面サイズは2013年の主流になると見られる5インチ、解像度は1920×1080ドットのフルHD画質だ。クアルコム製1.7GHz(ギガヘルツ)クアッドコアCPUを搭載するほか、3000mAhという大容量バッテリーもセールスポイントの1つとなっている。他のドコモ春スマホにひけをとらない性能で、おサイフケータイなどへの対応もぬかりない。
実際に手に取ると、従来のスマホよりひと回り大きいサイズにやはり目が行くが、丸みを帯びた形状や薄さのせいか、想像以上に持ち心地がいい。画面のきれいさ、動作の速さは文句のつけようもなく、編集部でもさっそくアニメキャラの画像を表示させ、「美しい!」とはしゃぐ女性記者もいた。
注目のカメラ機能だが、アウトカメラは約1320万画素、インカメラでさえも約240万画素を備え、アウト/イン同時撮影が可能な点も特徴だ。この被写体と同時に撮影者の表情・リアクションを録画してまるでバラエティー番組のような映像が作れる「Dual Recording/PlayBack」は、ソーシャルメディアでの動画投稿のおもしろさを引き立ててくれる。
しかしなんといっても、新撮影機能「VR Panorama(パノラマ)」が面白い。
パノラマ撮影? それなら他のスマホでも――と思うかもしれないが、このVR Panoramaは、自分を中心に上下左右、あらゆる方向に、その視覚を拡張した写真が撮ることができる。国内販売中のスマホでは、極めて珍しい機能だ。
VR Panoramaでまるで超魚眼で撮ったような不思議空間が
試してみよう。被写体に向けてシャッターを切ったのち、そのまま少しずつカメラを好きな方向に移動させていく。すると画面上にターゲットが表示されるので、そこに画角を合わせる。すると自動的にパシャリ。再びカメラを動かせば、それに合わせて次のターゲットが。これを繰り返し、適当なところで合成ボタンを押せば、これまで撮影した画像が1枚の写真として融合する。
できあがった写真は、まるで超魚眼レンズでのぞきこんだような不思議空間だ。一方向にしか伸びないパノラマ写真とはまるで違う、現実離れした世界が映し出され、一度やりだすとすっかり夢中になってしまう。特に屋外では、独自のスケール感ある撮影が楽しめる。気分が乗って屋外に飛び出し、身をのけぞらせながら写真を撮りまくっていると、通りがかった上司に怪訝な顔をされた。
ほかにも、画面のズームに合わせて音声を拡大する「Video & Audio Zoom」など、珍しい撮影機能が複数搭載されている。その「新しい楽しさ」は、スペックを争う春スマホの中でも侮れない存在感を発揮しそうだ。