霞ヶ関官僚が読む本
南米コロンビアへの著者の熱い思い 「暴力横行で怖い国」の誤解を解く

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ゲリラ・麻薬対策で一般犯罪が低下傾向

   最終章において著者は、悪魔祓いの結論の筆を振るう。例えば、「コロンビアの政治は絶え間ない激しい戦争または紛争の歴史であり、その本質が現在まで続いている」という固定観念については、各種文献を引いて、政治的ビオレンシアは旧スペイン植民地に共通したものであり、コロンビアのそれはほかのラテンアメリカ諸国に比べて決して多いとはいえないとした上で、二大政党制が崩れて以降政治的ビオレンシアの発生する条件がなくなったと指摘する。そして現在は、政府のゲリラ・麻薬対策により一般犯罪が着実に低下傾向にあると説いている。

   本書は啓蒙書ではなく学術書であり、実証的で緻密な内容であるが、達意の文章なので難解に感ずることはない。著者のコロンビアに対する熱い思いが伝わる本である。

経済官庁(Ⅰ種職員)山科翠

   J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」でも記事を公開中。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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