Twitter(ツイッター)上で執筆される「ツイッター小説」支援に、角川グループが乗り出す。
ツイッターの運営会社と連携して「まとめサイト」を立ち上げ、人気作品の出版や映像化も視野に入れる。近年オンライン上で発表される「ネット小説」が存在感を増しつつあるが、ツイッター小説から、未来のベストセラー作品が飛び出す日も近いかもしれない。
すでに「ニンジャスレイヤー」がヒット
今春ごろにツイッター・ジャパン社が開催予定の「ツイッター小説」投稿コンテストにあわせ、角川グループホールディングスは専用のウェブサイトを立ち上げる。サイトでは投稿された小説を自動的に解析・整形して、作品ごとに読みやすい形にまとめて公開する。サイト上では人気投票や感想を書き込めるフォームなども設置する計画だ。
ツイッターで小説を発表する動きは、ユーザーの間で自然発生的にこれまでも行われてきた。「140字」という字数の中で完結させる超短編作品のほか、短い投稿を重ねることで長編作品を書き上げる人も。中でもその代表格といえるSF活劇小説「ニンジャスレイヤー」(@NJSLYR)は現在2万人以上のフォロワーを集める。「外国人が勘違いしていそうな日本」風の未来世界を舞台にした異色の「ニンジャ」小説で、2012年にはエンターブレインから書籍化もされた。
とはいえ今回のように、ツイッター本体が主催する形でのいわば「公認」小説企画は日本では例がない。さらに、それに出版社などコンテンツメーカーが参加するのは世界初の試みだ。
新たな才能の発掘なるか
「ネット小説」が文学を変える、という論はインターネット黎明期以来たびたび盛り上がり、新聞社・出版社などが運営に乗り出した事例は少なくない。
そのすべてが成功を収めたとは言いがたいが、「オンラインで発表された人気小説を書籍化する」という形はいまやかなり定着している。2000年代前半には「ケータイ小説」がブームを起こしたほか、2012年大ヒットしたライトノベル『ソードアート・オンライン』(川原礫著、電撃文庫)は元々作者が自身のサイトに公開していた作品だ。
角川グループではこうした「ネット発」の才能発掘に積極的で、今回のツイッター小説にも同様の狙いがあると見られる。同社では「単発的な企画ではなく、ユーザーの反応を見ながら今後恒常的に続けていくことも目指す」と話している。