75歳「超実験小説」は日本語変えるか 「最年長・最年少」で読む芥川賞

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   第148回芥川賞は史上最高齢の75歳の黒田夏子に決まった。その作品『abさんご』は横書きでひらがなを多用し、固有名詞やカタカナを使わないという「超実験小説」。史上最高齢とはいえ、若々しい挑戦に満ちた作品だ。芥川賞はこれまでも社会に衝撃を与え、様々な話題を提供してきた。過去の作品を振り返ってみると――。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中。

雪深い山村の幻想的な世界

『月山・鳥海山』
『月山・鳥海山』

『月山・鳥海山』

   今回、黒田夏子が受賞するまでの芥川賞の最年長記録は第70回(1973年下半期)の森敦の61歳だった。芥川賞は作家の登竜門といわれ新人作家に与えられる賞なので、「還暦を過ぎた新人作家」と話題になった。だが、森は若くして文壇にデビューし、その後は作品を発表しないものの、太宰治、檀一雄、中原中也らとの交遊や、日本各地を放浪するなどの体験を通して文学的修養を積んだ老大家だった。受賞後はラジオやテレビにも出演、前髪を垂らした髪型で紫煙をくゆらす姿は人生の達人の趣があり、多くのファンを得た。

   受賞作『月山』は文藝春秋の文春文庫『月山・鳥海山』(著・森敦、610円)に収められている。出羽の霊山・月山のふもとの雪深い山村の人々の営みを描いた味わい深い作品である。

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