霞ヶ関官僚が読む本
中国の歴史認識と米国の本音 日本外交はどう向き合うのか

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日本は国力を維持していけるのか

   そこで、少し頭を冷やして『日本の領土』(芹田健太郎)も踏まえて比較するならば、戦後、アメリカは紆余曲折がありながらも、小笠原、沖縄といった領土を日本に着実に返還してきた歴史がある一方で、中国では、チベットも内モンゴルも今ではすっかり一つの中国の一部とされていることに留意せざるを得ない。

   経済的な面に目を向ければ、それぞれ様々な問題を抱えながらも、中国は今も発展を続けており、米国も引き続き重要な経済的パートナーであり続けると思われる。

   これらを踏まえれば、日本の外交政策はどうあるべきだろうか。私には、日米同盟を基軸としつつ、中国との戦略的互恵関係を築くというのは極めて現実的な路線に思える。

   しかし、日米同盟を維持するにしても、中国との戦略的互恵関係を築くにしても、その同盟なり、互恵関係なりが相手国にとって利益となるだけの一定程度の国力、例えば経済力、文化的な影響力あるいは物理的な防衛力といったものが、日本に求められるのではないだろうか。その観点から、『デフレの正体』(藻谷浩介)を読むと、高齢化し人口減少に向かう日本が国力を維持していけるのか非常に心配になってしまう。

   このように、今を生きる多くの日本人と同じく、日本の行く末について考えれば考えるほど、私の憂いは深くなる。

総合官庁(課長級)Paper Chaser

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【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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