「円安・株高」で明けた2013年の経済界は久しぶりに華やいだ雰囲気に包まれ、週刊誌には早くも「儲かる株」の特集記事が躍る。アベノミクスが繰り出す金融緩和、財政出動、成長戦略の三本の矢で、暮らしは本当に良くなるのか。景気の行方をしっかりと見据えたい。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中。
「劇的な上昇相場がくる」
『不連続の日本経済』「景気は気から」というが、新政権が発足し新たな経済政策を打ち出すと、一気に雰囲気が変わってきた。長年のデフレ不況から脱却し、新しい投資の時代が始まるのか。この経済情勢にタイミングよく発行されたのが、日本実業出版社の『不連続の日本経済』(著・若林栄四、1575円)だ。銀行員時代、「マッド・ドッグ(狂犬)」の異名で知られた大物為替ディーラーによる投資戦略指南の書である。
これまでも大胆な経済・相場予測を的中させてきたが、今回もまた、独自の黄金分割理論と歴史観に裏付けられた大局観に基づき、「いままでのトレンドとは不連続かつ劇的な上昇相場がくる」と日本経済の転換を予測する。2013年、ドル・円相場や日経平均株価、日本国債はどうなるとみているのか。
賛否両論のTPPめぐる話題の書
『TPP亡国論』TPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加すべきか否か。民主党政権時代、野田佳彦前首相は参加方針を表明しながら、党内の反対でトーンダウンした。自民党政権になっても、交渉参加の取りまとめは難航しそうである。大手マスコミ各紙は賛成・推進の立場だが、学者や評論家の間でも意見が分かれる。
集英社新書の『TPP亡国論』(著・中野剛志、798円)は、TPPを推進する側の経済産業省から京都大学へ出向していた著者が「TPPの危険さ、TPPを巡る議論の出鱈目さ、そして財界や主要マス・メディアが軒並み賛成するという異様さ」に黙っているわけにはいかなくなったとして、反対の立場から書き下ろした話題の書である。「開国か鎖国か」「自由貿易か農業保護か」といったフレーズに惑わされずに、戦略的に考えることの大切さを説く。
経済の俗論と真相
『日本経済の真相 「経済ニュース」はウソをつく!』サブタイトルに「経済ニュース」はウソをつく、とある。帯には「97%の真相」が隠されている、とある。中経出版の『日本経済の真相 「経済ニュース」はウソをつく!』(著・高橋洋一、1050円)は、日本経済のカラクリや数字の裏表を知り尽くした元財務官僚の著者が経済ニュースのウソを見破り、隠されている本当の姿を明らかにするというものだ。
ウソに基づいた俗論に対し、真相を解説するというスタイルをとっている。例えば、俗論「景気が悪い以上、株価低迷はやむなし」→真相「円安にすれば日経平均1万3000円も可能」。俗論「日本は財政赤字で破綻寸前」→真相「資産は世界一。実質の借金は350兆円」といった具合だ。マスコミ報道や役所の都合のいい情報にだまされないニュースの読み方と思考法を伝授する。