史上最年長、75歳9か月で芥川賞を受賞した黒田夏子さんの小説集『abさんご』が、早くも2013年1月20日、文藝春秋から刊行される。
20代当時「この作者には素質がある」と評価
評論家・蓮實重彦さんを「途方もないもの」と驚かせた受賞作「abさんご」に加え、半世紀前の「幻のデビュー作」こと短編「毬」も同時収録する。
「毬」は1963年、読売短編小説賞に投稿され、入選を果たしている。まだ20代半ばだった黒田さんを、選者の故・丹羽文雄さんは高く評価し、「この作者には素質があるようだ」とコメントしていた。ちなみに同じ年に同じ賞に投稿した人物には、のちに時代小説の大家となる故・藤沢周平さんがいたという。それから50年を経ての芥川賞受賞、まさに時代の風雪を感じさせる。価格は1260円。