ダイオウイカが深海に暮らす姿を世界初撮影――このニュースに、少なからぬ人の脳裏にこんな「?」が浮かんだようだ。
「ダイオウイカってどんな味なのかね!」
「ダイオウイカの生きてる映像みて『凄い!!』という驚きより『食えるかな?』という疑問が先だった」
10年越しの計画で撮影に成功
ダイオウイカは大きなものでは体長20メートルを超え、西洋に伝えられる怪物「クラーケン」の元になったとされる。深海に住むこともあり生態はほとんどわかっていない。NHK・米ディスカバリーチャンネルなどはその姿を捉えるべく10年をかけて調査・準備、ついに2012年7月10日、父島沖の水深630メートルで体長約3メートルのダイオウイカの撮影に成功した。
2013年1月13日に「NHKスペシャル」でその姿が放映されることが6日報じられると、ネットは大盛り上がりに。そんな中で、海産物好きの日本人らしく、ダイオウイカの「味」が各所で話題に上った。「大味そう」という意見が多勢を占める一方で、「食べてみたい」との声も少なくない。
実際に食べた研究者によると…
実際のところどうなのか。国立科学博物館のウェブサイトに、今回の撮影にも参加した窪寺恒己博士の体験談が載せられていた。
「窪寺グループ長の体験では、アンモニア臭く、とても食べられたものではなかったとのことです」
これによるとダイオウイカは巨大な体を浮かせるため、筋肉にアンモニアを含む細胞が分布しており、それが独特の臭みを生んでいるという。そのため、他のイカのように刺身にしたりイカリングにしたりイカ焼きにしたり、というわけにはいかないそうだ。残念。
ただし、そんなダイオウイカを「好物」にする生物もいる。体長18メートルに達するマッコウクジラだ。さしもの巨大イカもクジラ相手には分が悪く、マッコウクジラの胃からはダイオウイカの肉がしばしば発見されるという。