モバイル向け新OS「Tizen(タイゼン)」が、この年末年始脚光を浴びている。
これまでiOS・Android(アンドロイド)の二強時代が続いてきたモバイルOS界だが、2012年12月30日には読売新聞が「ドコモ、タイゼンスマートフォン13年発売」と朝刊一面トップで報じ、13年1月3日には米ブルームバーグ・ビジネスウィークが、サムスンが年内のタイゼンスマホ投入を認めたと伝えた。
マスコミからの注目度は高そうだが、ネット上では「タイゼン……って何?」という疑問の声も少なくない。
「主導権」取り戻したい携帯会社が注目
タイゼンは、アンドロイド同様にLinux(リナックス)をベースに、誰でも無償で提供・開発が可能なフリー&オープンソースのOSとして製作が進められている。2011年にプロジェクトが立ち上げられ、12年1月には最初の試作版が公開された。現時点ではまだ、タイゼンを搭載した製品は発売されていない。
開発にはインテルとサムスンを中心に、ドコモなど日米欧の携帯電話各社、またパナソニックやNECなどの日本メーカーなども参加している。OSそのものがウェブサイトなどに使われるのと同じHTML5で構成されており、アプリ開発がしやすいのが特徴だ。間口の広さから、新興国や安売り市場の開拓も期待される。
提供する携帯電話会社が、自社のサービス向けにカスタマイズしやすいのもメリットとされる。そのため市場を寡占するiOSのアップル、アンドロイドのグーグルに主導権を握られたドコモ始め携帯各社としては、「タイゼン推し」で地位奪回を目指す狙いがある。
前述の読売記事によれば、ドコモは2013年中にサムスンが発売するタイゼンスマホを、国内で提供することを検討しているという。この報道についてサムスンは米ブルームバーグの取材に対し、13年中にタイゼン製品を発売することは認めたものの、具体的な時期やラインアップなどは明かしていない。