【書評ウォッチ】ベストセラーは「人」と「紙」 『聞く力』『舟を編む』の共通点

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被災地を思い続けた人々の読書風景

   そうしたトップページの一角に「今も生々しい大震災の記憶」と見出しをつけた投稿紹介コーナーを読売新聞が設けた。被災地のことを思い続けた人々の読書風景が浮かぶ。有川浩『空飛ぶ広報室』(幻冬舎)、辺見庸『瓦礫の中から言葉を』(NHK出版新書)、麻生幾『前へ!』(新潮社)など。どれも大震災に素材を求め、あるいは津波の現場から想をとったと読者が受け止めている。

   「津波に流された戦闘機の映像は衝撃的だった」「傍観者の私が見つけられず、手繰り寄せられなかった言葉が鋭い洞察で表現されていました」という読者感動の一言が印象的だ。

   次ページの読書委員が選ぶ「2012年の3冊」集の中には、畠山直哉『気仙川』(河出書房新社)が。地震に襲われる前と後のふるさと陸前高田を写し撮った写真約80点と鎮魂のエッセイ。「涙なくしては読めない」と評者の管啓次郎さん。

   一方、『さらば国策産業』(安西功著、日経新聞出版社)が朝日新聞書評委員の「今年の3点」中に。原発問題から国家論へ。本が求めるのは電力改革とエネルギー戦略の転換。評者の姜尚中さんが「ジャーナリストの目で的確に明らかに」と薦めている。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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