【書評ウォッチ】石炭から原子力へ 炭鉱・油井近くに原発が建つ意味

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被災地の試みは日本全体のヒントに

   『東日本大震災と地域産業復興』(I、II巻。関満博著、新評論)は、朝日に。「一時的な美談集ではない」と評者の山形浩生さんがいうとおり、東北全体の構造変化と被災地の製造業を中心とした復興を克明に記録した。

   一方で、地域に以前からあった過疎、高齢化、交通条件の悪さ、アジア移転といった課題への取り組みも。被災地域復興の試みは日本産業全体にまでヒントを与えると、評者は受けとめている。

   どちらも必要な視点だが、一般の読者には値段、分量ともにやや負担。『石炭の文学史』は6300円、2巻ものの『東日本大震災と地域産業復興』は3000、4000円近い。誰でも手軽に買える安価でコンパクトな普及版・要約版をほしいところだ。本は研究者だけでなく、むしろ普通の市民に読まれてこそ価値がある。

   個別事情をとばしてまとめだけをという人に、評者の山形さんは同じ関満博氏の『地域を豊かにする働き方』(ちくまプリマー新書)を紹介している。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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