外国メディアの目で、記者クラブ「閉鎖性」に警鐘
『テレビは総理を殺したか』(菊池正史 2011年2月 文春新書)は、官邸キャップなどを歴任した日本テレビの現役記者が、小泉政権誕生時など最近の主要な政局の際にテレビが果たした役割等を、当時の取材現場での実話などを交えて解き明かそうとしている。
「テレビ」は、ニュースだけでなく、ワイドショーや政治的バラエティーなど広いジャンルで政治を扱うメディアであり、「新聞」など他のメディアと比べ圧倒的な影響力を有する。90年代以降の各局報道番組の視聴率重視への路線転換を構造的背景として、小泉政権の「自民党をぶっ壊す」といった「ワンフレーズポリティックス」、「郵政解散」や「刺客騒動」といった「劇場型」政治によって、テレビが(図らずして)まんまと政権に利用されていく過程をつぶさに追っている部分などは特に興味深い。
『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』(マーティン・ファクラー 2012年7月 双葉新書)は、ニューヨーク・タイムズ東京支局長が、東日本大震災やその後の福島原発の取材・報道の経緯などを丹念に追いながら、アウトサイダーである外国メディアの目で、日本の記者クラブ・システムの閉鎖性等の問題に警鐘をならしている。また、ブログなど新たなメディアの台頭の中、新聞がインターネット時代にどのように生きていくべきかについても、先行する米国の事例などを紹介しながら建設的な提案を行っている。
事業所管官庁(課長補佐級) 達磨
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