「喪中なのに年賀状が届いたけど大丈夫?」「喪中の家に年賀状を送ってしまった」――年末年始にかけ、こうした質問がネット上に投稿され、マナー違反になってしまったのではないかと右往左往する人が、例年少なからずいるようだ。
専門家によると、喪中のときでも年賀状を受け取ることはマナー違反ではなく、喪中の家に「年始状」を送ることも問題ないという。また、喪中でも年賀状を受け取って喜ぶ人も意外と多いことを示す調査結果もある。葬儀相談員の市川愛さんに、喪中と年賀の「マナー」を聞いた。
喪中はがきの正式名称は「年賀欠礼状」
そもそも喪中はがきとは、正式名称が「年賀欠礼状」で新年を喜ぶあいさつを控えることを詫びるもの。自分が喪中であることや近親者に不幸があったことを知らせる訃報ではなく、「年賀状を送らないでください」という意も込められていないという。喪中の家族は初詣や松飾りなど、めでたいことをしないのが基本だが、年賀状を受け取ることはマナー違反ではなく、年賀状を例年通り送ってもらいたい場合は、喪中はがきの文面に「年賀状をお待ちしています」「例年どおり、近況をお知らせください」などと書き添えればよいそうだ。
また、喪中はがきを受け取った方も、年始のあいさつ状を送ることは「マナー違反とならない」とは言え、新年を喜ぶ年賀状という形式が気になるのであれば、遺族を励ます意味をこめて「喪中見舞い」や、賀詞などがない「年始状」として送る方法もあるという。喪中の人へのあいさつ状の文例は、日本郵便の特設サイトで公開されている。
喪中で年賀状がこなくて「さみしかった」6割
実際、喪中時の年賀状についてどう思われているのか。毎年はがきで年賀状を送る20代~60代の男女500人が対象の「年賀喪中マナー実態調査」によると、喪中のため自分からは出さなかったが年賀状をもらえて「うれしかった」人は、喪中を経験した人(約390人)の約半数にのぼる。その理由として、「友人からの近況報告は、自分が喪に服していてもうれしい」や、「励ましの言葉をもらって、勇気付けられた」といった声が挙がっている。
年代別では特に20代が、喪中でも年賀状を受け取ることがマナー違反でないならば「欲しい」と67.0%が回答しており、「送りたい」と答えた人も66.0%いた。また、喪中で年賀状がこなくて「さみしかった」という人は喪中対応経験者(約340人)の約6割に上った。調査はネオマーケティング(東京・渋谷区)が2012年10月26日~28日にインターネットで実施した。
市川氏は、「喪中の家族は初詣などにも出かけず、年賀状も届かないので、とても寂しい正月になります。ご遺族を励ます意味でも、新年の挨拶状としての年始状、もしくはお見舞いの気持ちを伝える喪中見舞いを出してみるのも良いのでは。ただし、配慮とお悔やみの気持ちは大切に」と話す。