【書評ウォッチ】不況対策に「コミュニティ」 新時代の街づくり考える

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   長引く不景気を企業と地域社会をつないでなんとかできないか。そこに「新しいコミュニティ」をつくることが「いまの日本の中心的なテーマ」だとの視点から、関連本が日経新聞に。『コミュニティが顧客を連れてくる』(久繁哲之介著、商業界)その他。こうした着想が、この時代、あちこちで強まる気配だ。

   モノが売れなくなったから「じゃあ地域のコミュニティに頼ろう」というのも調子いい話だが、全国的な行き詰りムードに対する打開策の一案ではある。企業サイドの思惑をどう活かすか・否定するか、冷静かつ早めに考えておかなければならない。【2012年12月2日(日)の各紙からI】

「物」を売るより、したい「事」

『コミュニティが顧客を連れてくる』(久繁哲之介著、商業界)
『コミュニティが顧客を連れてくる』(久繁哲之介著、商業界)

   「ものづくりにコミュニティなどソフト面の要素をいかに盛り込んでいくか」を、評者の千葉大・広井良典さんは重視。『コミュニティが顧客を連れてくる』は、店主が売りたい「物」ではなく、顧客のしたい「事」に注目する提言やメッセージ。豊富な事例とともに論じられていると受けとめている。

   企業の生き残り策というより、街づくりそのものをベースにした『コミュニティデザインの時代』(山崎亮著、中公新書)も紹介。都市と地方のありようを含め、普遍的にコミュニティの意味や方法を論じた本だ。「集落診断士」を提案し、「ヨソモノ」の立場に徹し、酒の席に頼らないなどのヒントもあふれる。

   コミュニティづくりを正視すればするほど「お金に換算できない価値が労働の大きな動機づけになる」といった考えが出てくる。この議論は『クリエイティブ資本論』(リチャード・フロリダ著、ダイヤモンド社)に。

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