愛情の偏り? 倒錯? 金儲け?
もう一つは、売買の問題。今ではペットショップが増えて、一つの「業界」をなす。動物愛護法の改正で生後8週間以下の動物販売が規制されたが、業界へ配慮し、来年の施行から当面は45日以下の規制にとどまる実状を評者は指摘する。愛護や保護と金儲けの間にひそむ思惑に気をつける必要がありそうだ。
さらに、飼い主の心理と行動にも評者は触れている。「人間の倒錯だと思う時もある」と評者がいう愛情の偏り方。ペットの死に涙し、老齢の親の死にほっとした人の例を引く。
そういえば、ごく一部だろうが、犬や猫に人でも贅沢な高級品を食べさせる「富裕層」も。アフリカには飢える人間もいるのに……との批判には問題が違うという反論がすぐ出るそうだが、この反論自体にも違和感を抱く人は少なくないはずだ。こうしたアレコレの議論は、まだ深まっていない。
(ジャーナリスト 高橋俊一)
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