【書評ウォッチ】ペットという社会問題 ブームの深部にあるものは

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   ペットブームだ。飼い主と動物愛護、周辺住民と地域づくり、あるいは人々の心理にまで、犬猫その他とのつき合い方・扱い方がさまざまにかかわってくる。賛否が分かれて感情的にもつれることもある「ペットと人間」の関連本を、朝日読書面がトップ記事にしたてた。

   「社会に定着すべきだと思うとともに、ペットを過剰に愛する社会は、どこか異常な気もする」と語る評者の奥野卓司さんは情報人類学者で、自身も犬好きという。この分野、身近な話にしては動物行動学や獣医学系の類書が先行して、人の意識まで扱った本は少ない。たかがペットというわけか。しかし、よく読めば、実際には「されどペット」の社会問題なのだ。【2012年11月25日(日)の各紙からII】

立ち直れない「ペットロス」

『ヒトと動物』(林良博ほか著、朔北社)
『ヒトと動物』(林良博ほか著、朔北社)

   動物を飼い慣らす歴史は何千年か前からともいわれるが、かわいがるブームは江戸時代かららしい。ペットと人間の今の関係については『ヒトと動物』(林良博ほか著、朔北社)を評者は薦める。野生動物と家畜とペットを考えた一冊だ。『犬たちの隠された生活』『猫たちの隠された生活』(ともにエリザベス・M・トーマス著、草思社)は、飼い主としての視線と飼い主自身をも対象とする観察者としての絶妙な距離をもっているという。

   ペットが死んで立ち直れなくなる「ペットロス」の問題が一方にある。宗教社会学者で自身が愛犬を亡くした僧侶でもある大村英昭氏が「少子高齢化社会のなかのペット」(『ヒトと動物の関係学 第3巻 ペットと社会』所収、岩波書店)をまとめている。

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