作家・三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺を遂げたのは、1970年11月25日のことだ。それから42年、その死を悼む「憂国忌」が今年もやってくる。
三島は天皇に代わり「神」になろうとした
三島の死をめぐっては、これまでさまざまな解釈が示されてきた。しかし日本近代文学を専門とする東京外国語大学の柴田勝二教授は、いずれの解釈もまた十分にその真実に迫っているとはいえないという。
柴田教授は2012年11月2日発売の近著『三島由紀夫 作品に隠された自決への道』(祥伝社新書)で、その死を三島自身の作品から読み解くことを試みている。『潮騒』から『豊饒の海』にいたる作品を再読することで、柴田教授は三島が、「もはや『神』ではなくなった昭和天皇を否認し、代わって自身を『神』としよう」としていた、という刺激的な論考を提示した。さて、泉下の三島はどう読むだろうか。価格は861円。