「『世界は言葉でできている』こういう番組に出てくれと言われて、それは本当にテレビ放送されるのか、疑った」
そう述懐するのは、「世界は言葉でできている」(フジテレビ系)に審査員として出演する金田一秀穂・杏林大学外国語学部教授だ。金田一さんいわく「世界は言葉でできているというのは最近の認知言語学の基本的テーゼ」だが、「そんな小難しい放送を喜ぶ人が多くいるとは思えない」。
人気番組「世界は言葉でできている」が書籍化
見たことがある人ならわかると思うが、同番組はもちろんそんな難解な内容ではない。穴抜け状態になった古今東西の偉人の「名言」を、「コトバスター」を名乗る出演者たちが独自のアイデアで補うことで、新たな名言を生み出すことに挑戦するというものだ。2011年に深夜番組として始まり、好評を受けて2012年10月24日からはゴールデン枠に進出した。
当初は上記のような「勘違い」をしていた金田一さんだが、今の日本で最も優れた言葉の才能を持つ人は、即興で相手を一番喜ばせる言葉を考え続けている「バラエティで働く芸人さんたち」だと指摘する。
「芸人さんたちが、持てる頭脳を絞り出す様子が見られるのは、何より面白い。(中略)彼らの考えている姿は、エロチックでさえある。この番組は、いまの日本人の言葉の民度を示すものである」
この金田一さんの言は、10月24日発売された『世界は言葉でできている Book Edition』(日本実業出版社)に寄せられたものだ。同著には深夜時代の番組で生まれた「名言」の数々が、余すところなく収録されている。価格は1365円。