霞ヶ関官僚が読む本
金融危機の歴史と日本の先行き 「ポジティブ・シンキング」の落とし穴とは

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

「健全な危機意識」の必要性

(5)銀行危機後は、住宅価格の低迷がきわめて長く続く。平均で約6年下落が続く。リーマンショック後の米住宅市場の回復は、過去の銀行危機の平均値からすると、2014年後半ということになるだろう。

   ジャック・アタリ氏がリーマンショック直後に刊行した「金融危機後の世界」(作品社)で、「ポジティブ・アティチュード」「ポジティブ・シンキング」というイデオロギーがリーマンショックの一因であり、大惨事(カタストロフ)を心配するようでは、リーダーになる資格はない、という考えが広まり、現実的視点からリーダーに危険の可能性を諭すことは、悲観主義と見なされて排された、と指摘されている。

   翻って我が国の先行きを考えるとき、過度に悲観的になる必要はないが、内包されている危険性に目を閉じてもいけない、健全な危機意識を発揮しなければ、と自戒している。

経済官庁(課長級) 蜩

   J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」でも記事を公開中。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

姉妹サイト