霞ヶ関官僚が読む本
金融危機の歴史と日本の先行き 「ポジティブ・シンキング」の落とし穴とは

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「機会均等」の脅威

(3)銀行危機はどんな国にも起きる「機会均等」の脅威である。先進国では過去800年の全期間にわたって、銀行危機が頻繁に発生している。銀行危機の大半は、その前に信用ブームが起きている。また、金融部門の自由化から5年以内に銀行危機となるケースが多い。

   我が国のバブル崩壊にも当てはまるのではないか。また、現在、邦銀の預貸率が低下し、邦銀の国債保有額が増加しているが、我が国の金融システムが金利上昇に対する脆弱性を蓄積している、ということも言えよう。

(4)銀行危機の場合、インフレ危機、通貨危機、債務危機が同時に発生する例が多い。大規模な銀行危機は長く深刻なリセッションを伴う。インフレ危機と通貨危機は、時代や国を問わずきわめて多くのケースで歩調をそろえて発生している。

   債務危機でインフレが発生すると、対内的な通貨価値が低下する(例えば、1円の価値が下がる)が、対外的な通貨価値も同時に低下し、通貨安(円安)になるだろう。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。

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