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団地が形成した政治意識

   『団地の空間政治学』(NHKブックス)もユニークな本だ。著者の政治学者・原武史さんは40年以上、団地で暮らした。画一的な間取りや周囲からの隔絶が特徴的な空間。これが自治会活動などを通じ1960~70年代の革新的な政治意識を形成したと説く。国内外50以上の団地を訪れての研究成果は「前例のない考察」と、担当の読売・小林佑基記者。

   原点は、丸山真男の『日本の思想』だとか。高3の夏に山手線を2周して読み終え、進路志望を理系から文系に変えたという。「言説化できないものの中に、日本の思想を解くカギがあるというメッセージは今も重要だ」と語るあたりに、ひたむきな執筆姿勢がにじむ。

   今は戸建てに住む原さんだが、団地体験の継承を訴える。「今の団地から21世紀型の新しい住まいが生まれる」と強調する言葉を、記事は提言としてピックアップしている。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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