「いかに官僚組織をおさえ、使いこなすか」
官僚人事を掌握しながら、この両輪を存分に操縦して困難に対処したのが小泉政権であり、著者であった。この両輪が仲良く動いてこそ、奥行きのある政策が実現できるものであり、役人の立場としては、本書はいささか羨望のまなざしをもって通読せざるを得ない。ちなみに、重要な政策決定が行われず、かつ、官僚機構を魔女狩りのごとく壊しかけているのが現政権である。
現在の日本は、社会保障制度改革や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、外交・安全保障問題が山積している。政治の力を持って断固たる問題解決を進めるためには、役人の動かし方が肝腎だ。著者は官僚組織を「統治の道具」と表現しながら、「要は政治がいかに官僚組織をおさえ、使いこなすかということこそが問題」だと力説している。今後の政治には、こういった視点をもった良質な国家運営のマネジメントを大いに期待したい。
総務省 課長級 YS
J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」でも記事を公開中。