自称独立国家・シーランド公国の初代君主パディ・ロイ・ベーツ「公爵」が2012年10月9日(英国時間)、亡くなった。91歳。同国公式サイトのほか、英BBCなどがその訃報を伝えている。
シーランド公国の名は知る人も多いだろう。第2次大戦後放置されていた英国の海上要塞を1967年、元陸軍少佐のロイ・ベーツが占拠し、勝手に独立を宣言した「世界最小の国家」だ。ただし、今に至るまで承認した国家は存在しない。人口はロイ・ベーツ公含めて4人とされる。
クーデター、火災、売却騒動も
実に半世紀近く、「シーランド公」として君臨したロイ・ベーツだが、その間にはさまざまな事件があったことも知られる。「首相」によるクーデター、火災による「国土」炎上、また2007年には国全体を6500万ポンド(約80億円)で売りに出すという騒動も起きた。
また近年では「爵位」をウェブ上で販売したことも、ネットユーザーの話題を呼んだ。現在「卿」「レディー」「男爵」「男爵夫人」といった称号が29.99ポンド(約3750円)、一ランク上の「伯爵」「伯爵夫人」を199.99英ポンド(約2万5000円)で購入可能だ。購入すると、「国章」入りの認定証が送られる仕組みとなっている。ちなみに先ごろ亡くなった流通ジャーナリストの金子哲雄さんも、「男爵」の位を持っていることを生前テレビで明かしていた。
他にもTシャツやキーホルダーといったグッズも販売されている。最新商品は、9月に登場した公国公認の「メールアドレス」。6か月あたり5.99ポンド(約750円)で、「@sealandlord.org」などのアドレスを利用できる。
「世界最小の国家」は、意外と商魂たくましく頑張っていた。
なお、ロイ・ベーツ公の息子マイケルさんが「摂政」として現在も国家運営に携わっており、公爵位は彼に受け継がれると見られる。