霞ヶ関官僚が読む本
韓国経済「礼賛」に違和感 「脆さ」と「格差」直視を

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竹島問題と「大胆な賭け」

   この冬の大統領選をひかえ、漁業関係者を除き、日本人の関心をこれまであまり引かなかった竹島問題が突如クローズアップされた。国際法の碩学芹田健太郎氏の『日本の領土』(中公文庫 2010年)が冷静な議論の基礎になる法的な事実を整理した良書だ。芹田氏は、法的問題として竹島領有については、日本に強い正当性があるとする。しかし、これが韓国と日本の「歴史問題」として、韓国にとらえられていることから、今後の東アジアの緊迫する国際情勢を想定する中で、韓国と日本の棘(とげ)を抜くために、漁業問題の解決と抱き合わせでの竹島の譲渡または放棄を「大胆な賭け」として提言しているのが目を引く。

   この問題には、声高に語る前に、まずは、良書をひもとき、自分の頭で地道に考えるしかない。「物曰うなら、声低く語れ!」(ミケランジェロ)は、現代日本を代表する人文主義者、故林達夫の座右の銘であった。その意味をかみしめながら、読書の秋の夜長に、本のページをめくることには大きな意義があると思う。

経済官庁B(課長級 出向中)AK

   J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」でも記事を公開中。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。
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