「真の能力」に具体策は?
企業が求める「能力」に大学教育が振り回されているとの指摘もあり、企業か大学かの責任問答は混とんとするばかり。他方には、この書評では触れていない構造不況やグローバル化で安い労働力が確保されやすくなった問題もしつこくからむ。
就活に走り回る学生は実際、勉強どころではない。「真の能力を高めるために何をどう教えるべきかが問われている」と評者はまとめているが、具体策はまだ固まっていない。
ほかに、他を知って自らを見つめろという意味か、『現代がトヨタを越えるとき』(小林英夫、金英善著、ちくま新書)が朝日に。「現代」はヒュンダイ・韓国企業。その強みと弱点を分析した。そこには、むしろ日本企業の「経営者の覇気の少なさと守り一点張りの姿勢」が。指摘されたハングリー精神の差に、評者の加藤出さんが考え込んでいる。
(ジャーナリスト 高橋俊一)
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