乳がん経験した編集者とタッグ 専門医が「患者が使える本」刊行

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   日本人女性は、約15人に1人は乳がんになる。「身近」ながんだけに、乳がんに関する情報量は多い。いや、多すぎるようだ。中には、古い「常識」にしばられた専門家の誤った意見がインターネットなどでまかり通っている例もあり、混乱する患者も少なくないという。

   乳がん患者の人たちが、情報の洪水におぼれず、本当に必要で「使える」最新情報をまとめたいと「乳がん一筋30年」の専門医、吉本賢隆氏が『もしかして乳がん!? あなたの不安に答えます。』(平凡社)を出版した。

「患者目線に立った厳しいお叱り」受け、完成

『もしかして乳がん!? あなたの不安に答えます。』。青空にモコモコとした雲が浮かんだような表紙には、「気軽に手にとって欲しい」という思いが込められている
『もしかして乳がん!? あなたの不安に答えます。』。青空にモコモコとした雲が浮かんだような表紙には、「気軽に手にとって欲しい」という思いが込められている

   吉本氏は、国際医療福祉大付属三田病院の乳腺センター長などを歴任し、現在は「よしもとブレストクリニック」院長を務めている。同書は、専門医の知識だけでなく、「患者目線で」「分かりやすく」にこだわった仕上がりになっている。それを可能にしたのは、乳がん経験者の編集者らの存在だ。

   吉本氏に出版を勧めた下中美都・平凡社取締役(営業担当、56歳)は、2007年に乳がん手術を受けた編集者だ。今回、構成と編集を担当した女性フリーライターも乳がん経験者で、吉本氏は打ち合わせの際、下中氏らから「患者目線に立った厳しいお叱り」を何度も受けたそうだ。

   国内では、年間約1万2000人が乳がんで亡くなっている。同書は、「乳がんはたしかに怖い病気ではありますが、『もっともよく治るがんである』」と強調した上で、「がんを受け入れる」ことから始めましょうと呼びかけている。こうした「心構え」の話から、「乳房温存療法」などの各種手術・治療法や再発リスクとの向き合い方などについて、具体的な選択肢を挙げつつ、それぞれ説明している。

   10月は、「乳がん月間」。早期発見・治療の大切さを訴える「ピンクリボン運動」が集中的に啓発イベントなどを行っている。吉本氏も同書で「すべての成人女性」に「ただちに乳がん検診を」と呼びかけている。日本の乳がんの検診率は2割台で、欧米より際立って低いと指摘。「検診で見つかった人のほうが生存率が高い」と検診の重要性を力説している。

   2012年6月に刊行された。1680円。

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