霞ヶ関官僚が読む本
ノーベル賞経済学者の不況脱出法 「軽妙でトゲ」あるレトリックを味わう

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海水派VS淡水派

   第3に興味深いのは、米国の経済学者が、東西両海岸地域のケインズ系学派(=「海水派」)と、五大湖周辺など内陸部の保守系学派(=「淡水派」)の二つに分かれ、宗教戦争状態だという指摘である。つまり、アカデミズム対立が、民主党・共和党の政治対立に寄り添う形で加熱し、イデオロギー闘争の域にまで達してしまっているわけだ。このように近年の米国の政治風土における寛容性の無さが、経済政策のような技術的領域にも影響を及ぼしている状況は、彼の国の経済の影響を被る我が国としても困ったものである。

   日本が十数年前にはまったデフレ的状況に、米国や欧州も陥りつつある。その脱却のために、クルーグマンのような大リーグ級プレイヤー達が繰り広げる政策論争をしっかり観戦し、我々も知的刺激を受けようではないか。

経済官庁(審議官級) パディントン

   J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」でも記事を公開中。

【霞ヶ関官僚が読む本】 現役の霞ヶ関官僚幹部らが交代で、「本や資料をどう読むか」、「読書を仕事にどう生かすのか」などを綴るひと味変わった書評コラムです。
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